介護のアセスメントシートの書き方と項目
公開 2026年9月3日
目次8項目
- 1介護のアセスメントシートとは何を残すものか
- 課題分析標準項目に沿って聞く
- 本人と家族の両方から聞く
- 生活の全体を見る
- 2介護のアセスメントシートで聞き取る項目
- 基本情報は事前に集める
- 課題分析の部分に時間をかける
- 空欄の理由を書く
- 3介護のアセスメントから課題をどう導くか
- 場面で聞くと出てくる
- 原因を身体だけに求めない
- 維持も目標になる
- 4介護のアセスメントシートを行い直すとき
- 退院のときは早めに動く
- 行い直した日を記録に残す
- 前の記録を消さない
- 5介護のモニタリング記録に書くこと
- 目標ごとに状況を書く
- 本人と家族の言葉を残す
- 続けるか変えるかを書く
- 6介護のモニタリングの頻度と記録の残し方
- 訪問できなかった月の扱いを決める
- 記録の様式を目標に合わせる
- 記録を計画の見直しに渡す
- 7介護のアセスメントシートでつまずきやすいところ
- 埋めるだけで終わらせない
- できないことの一覧にしない
- 前の担当の記録を読んでから行く
- 8介護のアセスメントシートを回す形にする
- 目標を測れる形で書く
- 担当者会議の記録とつなげる
- 記録の保管を人ごとにまとめる
アセスメントシートの項目を全部埋めたのに、そこから何を課題にすればよいか分からない。そういう場面があります。事実は書けているのに、困りごとにつながっていない状態です。
一般には、聞き取った内容から本人が困っていることを見つけ、その原因を探ります。項目を埋めることと、課題を見つけることは別の作業になります。
とはいえ、聞き方が事実の確認だけだと、困りごとは出てきません。
ポイントはここです。介護のアセスメントシートは、項目を埋める書類ではなく課題を見つける道具という位置づけになります。
ここでは、何を残すものなのか、聞き取る項目、課題の導き方、そしてモニタリングとのつながりまでを順に整理します。
介護のアセスメントシートとは何を残すものか
介護のアセスメントシートは、本人の状態と生活の状況を聞き取って残す書類です。ケアプランを作る前の段階にあたります。
- 1 アセスメント 状態と生活を聞き取る
- 2 課題の整理 困っていることを言葉に
- 3 計画 目標とサービスを決める
- 4 提供 サービスを実施する
- 5 モニタリング 目標に対する状況を見る
- 6 再アセスメント 変わったら聞き直す
この6つが1周する形になっています。そのうえで、最後の再アセスメントから、また最初に戻ります。
課題分析標準項目に沿って聞く
厚生労働省は、課題分析標準項目という一覧を示しています。基本情報に関する項目と、課題分析に関する項目に分かれています。
どの様式を使う場合も、この項目が網羅されている必要があります。そのうえで、事業所によって様式の形は違います。
自事業所の様式が項目を満たしているかを、一度確認しておきます。
本人と家族の両方から聞く
本人の希望と、家族の希望が違うことがあります。本人は自宅で過ごしたい、家族は施設を考えている。
本人と家族の希望が違うこと自体が、記録に残す情報になります。
どちらかに寄せて書くと、後から経緯が分からなくなります。そのうえで、両方の言葉をそのまま残しておきます。
違いが分かっていると、調整の方向が見えます。
生活の全体を見る
アセスメントで見るのは、身体の状態だけではありません。住まいの環境、家族との関わり、地域とのつながり、経済の状況。
そのうえで、これまでどう暮らしてきたかも情報になります。何を大事にしてきた人なのかが分かると、目標が本人に近づきます。
介護の必要な部分だけを見ると、その人の生活が見えません。
介護のアセスメントシートで聞き取る項目
介護のアセスメントシートで聞き取る項目は、大きく2つに分かれます。状況を押さえる部分と、課題を探す部分です。
基本情報に関する項目
- 本人と家族の情報
- 認定の状況
- 住まいの環境
- 現在のサービス
課題分析に関する項目
- 健康と身体の状態
- 日常生活の動作
- コミュニケーション
- 社会との関わりと役割
左は、事実を確認する部分です。一方で右は、聞き方によって出てくる内容が変わります。
基本情報は事前に集める
住所、家族構成、認定の区分、現在使っているサービス。これらは、事前に分かる範囲を埋めておきます。
そのうえで、訪問の場では確認だけにします。書類から分かることに時間をかけると、話を聞く時間が減ります。
事前に集めておくと、限られた時間を課題の部分に使えます。
課題分析の部分に時間をかける
日常生活の動作を聞くとき、「できるかどうか」だけを聞くと表になります。どういう場面で困っているかを聞くと、話が広がります。
「お風呂は入れますか」ではなく「お風呂で困ることはありますか」。そのうえで、いつからそうなったか、どうしているかも聞きます。
聞き方を変えるだけで、出てくる情報が変わります。
空欄の理由を書く
聞けなかった項目、答えが得られなかった項目があります。空欄のままだと、聞き漏れなのか答えがなかったのかが分かりません。
空欄に理由が書いてあると、聞き漏れとの区別がつきます。
介護のアセスメントから課題をどう導くか
聞き取った内容を並べただけでは、課題になりません。困っていること、その原因、望む状態の3つがそろって課題になります。
- 本人が困っていることが分かったか はい次へ いいえ生活の場面で聞き直す
- その原因が見えているか はい次へ いいえ身体・環境・関わりから探す
- 本人が望む状態が言葉になったか はい次へ いいえどうしたいかを聞く
- 手を打てる部分があるか はい課題として立てられる いいえ維持を目標にする
困っていること・原因・望む状態がそろって、課題になる
望む状態が言葉になっていると、目標が書けます。
場面で聞くと出てくる
「何か困っていることはありますか」と聞くと、「特にない」と返ってくることがあります。生活の場面を挙げて聞くと、具体的な話が出てきます。
朝起きてから食事までの間、トイレに行くとき、外出するとき。そのうえで、1日の流れに沿って聞いていく方法もあります。
場面が具体的だと、思い出しやすくなります。
原因を身体だけに求めない
歩けないから外出できない、と考えると対応が限られます。実際には、行き先がない、一緒に行く人がいない、道が怖いという理由もあります。
そのため、身体、環境、人との関わりの3つから探します。そのうえで、どれに手を打てるかを考えます。
身体の機能が変わらなくても、環境を変えれば解決することがあります。
維持も目標になる
改善が見込めない場合でも、課題は立てられます。いまの状態を保つこと、悪化を遅らせることも目標になります。
そのうえで、何をすれば保てるかを考えます。そのままにすると下がっていくものを、支える形です。
改善だけを目標にすると、書けない方が出てきます。
介護のアセスメントシートを行い直すとき
介護のアセスメントシートは、一度作れば済むものではありません。状態や環境が変わったときに、行い直します。
上の2つは、変化が大きく出る場面です。そのうえで、家族の状況の変化も見落とせません。
退院のときは早めに動く
入院前と退院後では、できることが変わっていることがあります。退院してから聞き取る形だと、その間の生活が支えられません。
そのため、退院の予定が分かった時点で情報を集め始めます。そのうえで、病院の相談員や看護師から状態を聞きます。
退院前のカンファレンスに参加できると、情報が早く入ります。
行い直した日を記録に残す
いつアセスメントを行ったかを記録に残します。そのうえで、なぜ行い直したのかも書きます。
認定の更新、退院、状態の変化。理由が書いてあると、後から経緯が追えます。
前回と比べられる形にしておくと、変化そのものが情報になります。
前の記録を消さない
新しいアセスメントを行ったとき、前の記録を上書きしないようにします。比べる材料が消えてしまいます。
そのうえで、日付を入れて別の記録として残します。時系列で並べておくと、変化の経過が見えます。
紙で持つ場合も、電子で持つ場合も同じです。
介護のモニタリング記録に書くこと
モニタリングは、計画どおりに進んでいるかを確かめる作業です。訪問した事実だけでは、記録として足りません。
- 訪問いつ訪問したか
- 状況目標に対してどうか
- 判断計画を続けるか変えるか
訪問した事実だけでは、モニタリングになりません。
真ん中の状況と、最後の判断が書かれてはじめて記録になります。
目標ごとに状況を書く
計画に書いた目標が3つあるなら、3つそれぞれについて状況を書きます。全体の様子だけだと、どの目標がどうなっているか分かりません。
そのうえで、目標の順番と記録の順番をそろえておきます。比べる作業が目で済みます。
様式に目標を印字しておく方法もあります。
本人と家族の言葉を残す
「変わりありません」とだけ書くと、何を確認したのかが分かりません。本人や家族が言ったことを、そのまま残します。
「前より階段が楽になった」「夜眠れない日が続いている」。そのうえで、こちらが見て気づいたことも書きます。
言葉があると、状態の変化が伝わります。
続けるか変えるかを書く
モニタリングの結果として、計画を続けるか変えるかを判断します。この判断を記録に書いておきます。
「現在の計画を継続」「次回の担当者会議で見直しを検討」。そのうえで、変える場合は何を変えるかも書きます。
判断が書いてあると、次の行動が決まります。
介護のモニタリングの頻度と記録の残し方
モニタリングの頻度は、サービスの種類によって決まっています。それぞれの周期を把握しておくと、予定が立てられます。
いちばん短いのが月に1回の訪問です。そのうえで、長い周期のものは予定表に入れておかないと流れます。
訪問できなかった月の扱いを決める
本人が入院した、感染症で訪問を控えた。こうした事情で訪問できない月があります。
このときも、記録には残します。訪問できなかった理由と、代わりに行ったこと。
電話で状況を確認した、家族から情報を得た。そのうえで、次の訪問の予定も書いておきます。
空欄のままだと、行っていないのと同じ扱いになります。
記録の様式を目標に合わせる
モニタリングの様式が自由記述だけだと、目標との対応が追えません。目標ごとに欄を分けておくと、書き漏れが減ります。
計画と様式の並びをそろえておくと、突き合わせが目で済みます。
記録を計画の見直しに渡す
モニタリングの記録は、計画の見直しの材料になります。何か月分かを並べて見ると、傾向が見えてきます。
そのうえで、担当者会議のときに資料として使えます。毎月の記録があると、変化の経過が説明できます。
書きためるだけで見返さないと、材料になりません。
介護のアセスメントシートでつまずきやすいところ
介護のアセスメントシートで止まりやすいのは、項目を埋めた後の段です。事実は集まっているのに、課題にならない状態になります。
- 1 項目を埋める 事実を書き込む
- 2 困りごとを聞く 本人の言葉で
- 3 原因を探す 身体・環境・関わり
- 4 望む状態を聞く どうしたいか
- 5 課題を立てる 手を打てる形に
1つ目は、様式があれば進みます。そのうえで、2つ目から4つ目が、聞き方によって差が出る部分です。
埋めるだけで終わらせない
項目が全部埋まっていると、作業が終わったように見えます。実際には、そこから課題を見つける作業が始まります。
そのため、埋めた後に読み返す時間を取ります。そのうえで、困っていることに線を引いていきます。
線を引いた部分が、課題の候補になります。
できないことの一覧にしない
アセスメントの記録が、できないことばかりになることがあります。歩けない、入浴できない、調理ができない。
この形だと、目標が「できるようにする」しか出てきません。実際には、できることを活かす方向の目標もあります。
できることを書いておくと、目標が現実的な形になります。
前の担当の記録を読んでから行く
担当が代わったとき、前の記録を読まずに訪問することがあります。同じことを聞き直すと、本人の負担になります。
そのうえで、前回からの変化も分かりません。記録を読んでから行くと、確認するところが絞れます。
引き継ぎの時間を取れない場合も、記録には目を通しておきます。
介護のアセスメントシートを回す形にする
介護のアセスメントシートは、計画とモニタリングとつながって回ります。どこかが止まると、全体が止まります。
- 1 アセスメント 課題を見つける
- 2 計画 目標を書く
- 3 モニタリング 月ごとに状況を見る
- 4 見直しの判断 続けるか変えるか
- 5 再アセスメント 変わったら聞き直す
この1周が回っているかは、記録を並べると分かります。そのうえで、止まっている段があれば、そこに手を入れます。
目標を測れる形で書く
目標が「安全に生活する」だと、モニタリングで何を見ればよいか分かりません。状態が変わったかどうかを判断できる形にします。
そのうえで、期間も書いておきます。3か月後にどうなっているか、という形です。
測れる目標だと、モニタリングの記録も書きやすくなります。
担当者会議の記録とつなげる
サービス担当者会議では、複数の職種が集まります。そこで出た意見は、アセスメントの材料になります。
会議の記録と、アセスメントの記録を対にしておきます。そのうえで、会議で決まったことが計画に反映されているかを確認します。
会議の記録だけが残って、計画が変わっていないことがあります。
会議に出られなかった職種からは、事前に意見を聞いておきます。そのうえで、その旨も記録に残します。
全員がそろわなくても、意見が集まっていれば材料になります。
記録の保管を人ごとにまとめる
アセスメント、計画、モニタリング、会議の記録。これらを人ごとに1つのファイルにまとめます。
そのうえで、時系列で並べておきます。経過を追うときに、めくるだけで済みます。
種類ごとに分けて保管すると、1人分を集めるのに時間がかかります。
様式はアセスメントシートテンプレート、モニタリング記録からダウンロードできます。
よくある質問
アセスメントシートの様式は決まっていますか。
様式そのものは定められていませんが、課題分析標準項目という項目の一覧が示されています。基本情報に関する項目と課題分析に関する項目に分かれており、どの様式を使う場合もこの項目を満たす形が求められます。手元の様式が項目を満たしているかを確認しておくと安心です。
アセスメントはいつ行い直すのですか。
初回のほか、更新のときや状態が大きく変わったときに行い直す形が一般的です。入院から戻ったとき、認定の区分が変わったとき、本人や家族の希望が変わったときが目安になります。行い直した日を記録に残しておくと、経緯が追えます。
モニタリングは月1回でよいのですか。
居宅介護支援では、月に1回以上の訪問と記録が求められる形になっています。サービスの種類によって求められる頻度が違うため、運営基準で確認しておくと漏れません。記録には訪問した日と、計画の目標に対する状況を書きます。