介護の食事記録と水分摂取記録の書き方|量の数え方
公開 2026年9月3日
目次8項目
- 1介護の食事記録とは何を残す記録か
- 低栄養に気づく場所になる
- 脱水を早く見つけられる
- 誤嚥の前ぶれが残る
- 2介護の食事記録の量の数え方
- 割で数える基準をそろえる
- 容器の容量を様式に書く
- 主食と副食を分けて残す
- 3介護の食事記録で形態ととろみをどう書くか
- 形態を変えた日は理由を残す
- とろみの段階を数字で書く
- 一時的な変更も記録する
- 4介護の食事記録から脱水に気づく
- 個別の目安量を決めておく
- 夏場は目安を見直す
- 足りない日を当日に拾う
- 5介護の食事記録から低栄養に気づく
- 何割を下回ったら動くかを決める
- 体重管理表と並べて見る
- 好みと食べやすさを記録に残す
- 6介護の食事記録でむせが続いたときの動き
- 食べていたものを書く
- 姿勢と環境も残す
- 回数を数えて評価につなげる
- 7介護の食事記録でつまずきやすいところ
- 食堂で書ける形にする
- 数字だけで書ける様式にする
- 夕方に合計を見る担当を決める
- 8介護の食事記録を計画につなげる
- 目安量を計画に書く
- 形態の変更を計画に反映する
- 栄養の専門職につなげる
食事の記録は、書く回数が多いわりに使われないことがあります。「主食8 副食6」という数字が並んでいても、見返す機会がなければ意味が出ません。低栄養や脱水は、数日から数週間かけて進むためです。
一般には、主食と副食を割で数え、水分は容器の単位で残します。数え方が人によって違うと、日をまたいで比べられません。
とはいえ、細かく量ろうとすると、配膳の時間には回りません。
ポイントはここです。介護の食事記録は、日をまたいで比べられる形にしておくことで、体調の変化に気づける記録になります。
ここでは、何を残す記録なのか、量の数え方、脱水と低栄養への気づき方、そして計画につなげるところまでを順に整理します。
介護の食事記録とは何を残す記録か
介護の食事記録は、食べた量と、そのときの様子を残す記録です。水分の摂取量も、同じ用紙で管理する形が一般的です。
- 量主食と副食と水分
- 形態刻みやとろみの段階
- 様子むせや食べ残し
3つのうち、量はほとんどの事業所で記録されています。一方で、形態と様子は書かれていないことがあります。
低栄養に気づく場所になる
食事量の低下は、低栄養の最初のサインになります。体重の減少より先に、記録に出てきます。
そのため、量が下がってきた時点で気づけると、対応が早くなります。そのうえで、原因を探る材料にもなります。
歯の状態、体調、好み、環境。理由はいくつも考えられます。
脱水を早く見つけられる
水分の摂取量は、その日のうちに合計できます。夕方の時点で足りていなければ、就寝までに勧めることができます。
水分の記録があると、足りていない日をその日のうちに見つけられます。
誤嚥の前ぶれが残る
むせる回数が増えている、食べるのに時間がかかる、口に残る。こうした変化は、誤嚥性肺炎の前ぶれになることがあります。
その日だけを見ても、たまたまかもしれません。そのうえで、数日分を並べると傾向として見えます。
記録があると、形態の見直しを検討する材料になります。
介護の食事記録の量の数え方
介護の食事記録では、量を割で数える方法が広く使われています。実際に量る方法より早く、比べられる形になります。
- 1 主食 割で数える
- 2 副食 割で数える
- 3 汁物 飲んだ割合
- 4 水分 容器の単位で
- 5 合計 1日で足し上げる
主食と副食で数え方をそろえておくと、記入が早く済みます。そのうえで、水分だけは実際の量が分かる形にします。
| 項目 | 数え方 | 目安 |
|---|---|---|
| 主食 | 10割法 | 全部食べたら10、半分で5 |
| 副食 | 10割法 | 品数ごとに分けてもよい |
| 汁物 | 10割法 | 水分にも数える |
| お茶・水 | 容器の単位 | コップ1杯を150ミリリットルなど |
| 経口補水液 | 容器の単位 | 提供した理由も書く |
| 間食 | 内容と量 | 種類を書いておく |
10割法は、全部食べたら10、半分で5と数える方法です。そのうえで、事業所によっては5段階や3段階を使うこともあります。
どの方法でも構いませんが、事業所で1つに決めます。方法が混ざると、日をまたいで比べられません。
割で数える基準をそろえる
同じ食事を見ても、人によって「7割」と「5割」に分かれることがあります。そのため、目で見た判断の基準をそろえておきます。
写真を撮って、これが5割という見本を作る方法があります。そのうえで、配膳の場所に貼っておきます。
見本があると、新しく入った職員も同じ基準で書けます。
容器の容量を様式に書く
「コップ1杯」と書いても、容量が分からなければ合計が出せません。事業所で使っている容器の容量を、様式に書いておきます。
容器の容量を様式に書いておくと、合計がそろいます。
コップ150、湯のみ100、汁椀150。そのうえで、容器の種類ごとに記号を決めておくと、記入が早くなります。
種類が多い場合は、よく使うものだけを一覧にします。
主食と副食を分けて残す
主食と副食をまとめて「7割」と書くと、どちらが減っているか分かりません。主食だけ残す方と、副食だけ残す方では、原因が違います。
主食が減っているなら、飲み込みや量の問題かもしれません。副食が減っているなら、好みや歯の状態が関わることがあります。
分けて書いておくと、対応が具体的になります。
介護の食事記録で形態ととろみをどう書くか
介護の食事記録に残す形態は、その方の飲み込みの状態に合わせて決まります。記録には、その日に提供した形態を残します。
段階が下がるほど、飲み込みが難しい状態になります。一方で、下げすぎると食べる楽しみが減ります。
形態を変えた日は理由を残す
形態を変えたときは、その理由を記録に残します。むせが続いた、歯の治療中、本人の希望。
そのうえで、一時的なものか継続するものかも書いておきます。一時的なつもりが、そのまま続いてしまうことがあります。
戻す時期の目安も書いておくと、見直しの機会になります。
とろみの段階を数字で書く
とろみの濃さは、言葉で書くと人によって変わります。「少しとろみ」と書いても、実際の濃さがそろいません。
とろみは段階を数字で決めておくと、濃さがそろいます。
一時的な変更も記録する
体調が悪い日に、一時的に形態を下げることがあります。このときも記録に残します。
そのうえで、翌日に戻したことも書きます。記録がないと、いつから変わったのかが分からなくなります。
一時的な変更が続いているなら、状態が変わっている可能性があります。
介護の食事記録から脱水に気づく
脱水は、水分量だけを見ても判断がつきません。排泄やバイタルと並べて見ると、材料が増えます。
- 1日の水分量が目安に届いているか はい次へ いいえ声かけを増やす
- 尿の回数や量が減っていないか はい次へ いいえ排泄記録と突き合わせる
- 口の乾きや皮膚の乾燥がないか はい次へ いいえ看護職に伝える
- 体温が上がっていないか はい経過を見る いいえ看護職に伝える
水分量だけでなく、排泄とバイタルと並べて見る
排泄記録とバイタル記録を並べて見ると、判断の材料が増えます。
個別の目安量を決めておく
1日に必要な水分量は、体格や状態によって変わります。一律の数字を全員に当てはめると、合わない方が出ます。
そのため、利用者ごとの目安量を決めておきます。そのうえで、記録の様式に書いておくと、その場で比べられます。
目安は、医療の側と相談して決める形が確実です。
夏場は目安を見直す
気温が高い時期は、必要な水分量が増えます。冬と同じ目安のままだと、足りない日が続きます。
そのため、季節ごとに目安を見直します。そのうえで、室温の記録も残しておくと材料になります。
湿度が高い日は、汗をかいても蒸発しにくく、気づきにくくなります。
足りない日を当日に拾う
夕方の時点で合計を出すと、その日のうちに手が打てます。翌日にまとめて計算する形だと、対応が1日遅れます。
そのため、夕方に合計を見る担当を決めておきます。そのうえで、足りない方には就寝までに勧めます。
その日のうちに動けると、脱水まで進みません。
介護の食事記録から低栄養に気づく
低栄養は、いくつかの指標に順に現れます。最初に出るのが食事量なので、記録を見ていると早く気づけます。
上のほうが早く出てきます。そのため、食事量の変化を拾える形にしておくと、対応が早くなります。
何割を下回ったら動くかを決める
「5割を下回る日が3日続いたら看護職に伝える」といった基準を決めます。基準があると、その場で判断できます。
そのうえで、利用者ごとに普段の量が違うことも考えます。もともと6割程度の方が5割になっても、大きな変化ではありません。
普段の量を記録の様式に書いておくと、比べやすくなります。
体重管理表と並べて見る
食事量が減っていても、体重が変わらないこともあります。逆に、量は変わらないのに体重が落ちる場合もあります。
食事量と体重を並べて見ると、低栄養の傾向がはっきりします。
体重は月に1回か2回の測定が一般的です。そのうえで、測定の日を決めておくと比べやすくなります。
同じ時間帯、同じ服装で測ると、数字のばらつきが減ります。
好みと食べやすさを記録に残す
食べ残しが続いているとき、原因は量だけとは限りません。味が合わない、噛みにくい、温度が好みでない。
本人が言ったことを、そのまま記録に残しておきます。そのうえで、残した品目も書いておくと傾向が見えます。
いつも同じ品目を残しているなら、好みの問題かもしれません。
こうした情報は、厨房や栄養士へ伝える材料になります。そのうえで、献立の工夫につながることがあります。
小さな変更で食べる量が戻ることもあります。
介護の食事記録でむせが続いたときの動き
むせは、その場の対応で終わらせずに記録に残します。回数が集まると、形態の見直しにつながります。
- 1 その場 食事を止めて姿勢を確認
- 2 記録 回数と食べていたもの
- 3 申し送り 看護職に伝える
- 4 評価 形態ととろみを見直す
- 5 計画 変更を書き込む
その場で止まると、次に同じことが起きます。そのうえで、計画まで戻る形にしておくと、対応が続きます。
食べていたものを書く
むせたときに何を食べていたかを書いておきます。水分でむせるのか、固形物でむせるのか。
そのうえで、どの品目だったかも書きます。汁物でむせるなら、とろみを加える対応が考えられます。
原因が絞れると、対応も具体的になります。
姿勢と環境も残す
食事のときの姿勢は、飲み込みに影響します。椅子の高さ、テーブルとの距離、体の傾き。
そのうえで、食事の場の環境も関わります。テレビの音、周囲の話し声、急かされる雰囲気。
こうした情報が残っていると、環境から変えられることが見つかります。
回数を数えて評価につなげる
むせた回数を、週ごとに数えます。先週は1回、今週は5回。増えているなら、評価が要ります。
そのうえで、看護職や言語聴覚士に相談する材料になります。数字があると、状況が伝わりやすくなります。
嚥下の評価につながることもあります。
介護の食事記録でつまずきやすいところ
介護の食事記録が続かない原因は、書く場所と書き方にあります。配膳の流れの中で書けないと、後回しになります。
続く形
- 配膳の場所に用紙を置く
- 割は選択式か数字だけ
- 容器の容量が様式にある
- 夕方に合計を見る
止まる形
- 事務室でまとめて書く
- 文章で様子を書く
- 容器の容量が人によって違う
- 翌日に合計を出す
左は、その場で数秒で書ける形です。一方で右は、後から思い出して書くことになります。
食堂で書ける形にする
記録用紙を食堂や配膳室に置いておくと、下膳のついでに書けます。事務室まで戻る形だと、まとめて書くことになります。
そのうえで、利用者ごとに1行の表にしておくと、目で追えます。1人1枚の様式だと、めくる手間が増えます。
電子で入力する場合も、端末の位置で記入率が変わります。
数字だけで書ける様式にする
様子を文章で書く欄が大きいと、記入に時間がかかります。数字と記号で埋まる形にしておきます。
数字だけで書ける様式にしておくと、下膳のついでに記入できます。
そのうえで、気になることがあったときだけ書ける備考欄を1つ設けます。毎回書く必要のない欄だと分かる形にします。
夕方に合計を見る担当を決める
水分の合計を出す作業を、誰がいつ行うかを決めます。決めていないと、誰も見ないまま日が終わります。
夕方の申し送りの前に見る形が実務的です。そのうえで、足りない方の名前を申し送りで伝えます。
数分で済む作業なので、習慣にすると続きます。
介護の食事記録を計画につなげる
介護の食事記録は、見る時間の幅によって打てる手が変わります。日ごと、週ごと、月ごとで、拾えるものが違います。
- 日ごと水分の合計を見る
- 週ごとむせと食べ残し
- 月ごと体重との関係
日ごとに見るのは水分で、その日のうちに手が打てます。
一方で、月ごとに見ると、体重との関係が見えてきます。
目安量を計画に書く
水分の目安量や、食事の形態をケアプランに書いておきます。書いていないと、担当が代わったときに引き継がれません。
そのうえで、記録の様式にも同じ内容を書いておきます。その場で比べられる形になります。
計画と記録がつながっていると、見直しもしやすくなります。
形態の変更を計画に反映する
形態を変えたときは、計画にも反映します。記録だけを変えて計画が古いままだと、食い違いが残ります。
そのうえで、変更の理由と時期も書いておきます。モニタリングのときに経緯が説明できます。
厨房への連絡も、同じタイミングで行います。
栄養の専門職につなげる
管理栄養士や栄養士がいる事業所では、記録を材料として渡します。量の推移、残した品目、むせの回数。
そのうえで、体重の変化も一緒に伝えます。数字があると、献立や補助食品の提案につながります。
外部の栄養ケアを利用する場合も、同じ材料が使えます。
様式は食事・水分摂取記録テンプレートからダウンロードできます。あわせて見る記録は体重管理表、バイタル記録表にまとめています。
よくある質問
摂取量はどのくらい正確に測るのですか。
主食と副食を割で書く方法が広く使われています。全部食べたら10割、半分なら5割という数え方で、日をまたいで比べられれば足りる場面が多くあります。低栄養の心配がある方だけ、重量やカロリーで測る形に切り替えると負担が増えません。
水分の目安量はどう決めますか。
食事以外で1日1,500ミリリットル程度を目安にしている事業所が多くあります。体格や疾患、服薬の内容によって適した量は変わるため、個別の目安を看護職と決めて記録の様式に書いておく形が扱いやすくなります。
むせがあった日はどこに書きますか。
食事記録の備考に書いたうえで、続くようであればヒヤリハットとして別に残す形が広く使われています。むせは誤嚥につながるため、回数と食べていたものを残しておくと、形態やとろみの見直しの材料になります。