介護の研修記録|法定研修の一覧と年間計画

公開 2026年9月3日

目次8項目

介護の事業所には、何種類もの研修が求められています。虐待の防止、身体拘束の適正化、感染症、業務継続計画。それぞれに回数が定められているため、その場で思いついて行う形では足りません。

一般には、年度の初めに一覧を作り、12か月に配ります。計画がないと、年度末に回数が足りないことに気づきます

とはいえ、計画を作っても記録が残っていなければ、実施したことが示せません。

ポイントはここです。介護の研修記録は、年間計画とセットで持つことで回数を満たせます

ここでは、求められる理由、研修の種類、年間計画の組み方、そして年度末の振り返りまでを順に整理します。

介護の研修記録が求められる理由

介護の研修記録が求められるのは、研修が運営基準で実施を求められている事項だからです。実施したことを示すのが、記録の役割になります。

  • 計画年間の予定
  • 実施内容と参加者
  • 記録実施したことの証跡
計画・実施・記録の3つがそろって要件を満たす

記録に参加者が残っていないと、全員が受けたことが示せません

実地指導で最初に見られる

実地指導では、研修の記録が確認される項目に入っています。計画があるか、記録があるか、全員が受けているか。

そのうえで、記録の内容も見られます。何を扱ったかが読み取れない記録だと、実施の証跡として弱くなります。

計画と記録を対にして綴じておくと、その場で示せます。

減算につながる場合がある

研修の実施は、加算の要件ではありません。運営基準に定められた事項なので、満たしていないと減算の対象になります。

加算ではなく運営基準の要件なので、行わない選択がありません

減算は、実施していなかった期間に遡って適用されることがあります。そのうえで、返還の手続きが必要になります。

行っていたのに記録がない場合も、同じ扱いになります。

職員の質にも関わる

要件を満たすことだけを目的にすると、形だけの研修になります。資料を配って読み上げるだけ、という形です。

実際には、職員が判断に迷う場面を減らすことが目的になります。虐待にあたるかどうか、拘束にあたるかどうか。

そのうえで、日々の動きが変わってはじめて意味が出ます。

研修の内容が現場に落ちているかは、その後の記録に出ます。ヒヤリハットの内容が変わる、相談が増える。

そのため、研修そのものと日々の記録をつなげて見ます。

介護で必要になる研修の種類

介護の事業所に求められる研修は、複数あります。サービスの種類によって、対象と回数が変わります。

  • 虐待の防止 52022年から義務
  • 身体拘束の適正化 5施設系で年複数回
  • 感染症の対策 5研修と訓練
  • 業務継続計画 52024年から義務
  • 事故発生の防止 2サービスによる
  • 緊急時の対応 2看取りを含む場合も
主な研修。上の4つは全事業所、下の2つはサービスによる

回数はサービスの種類で違うため、運営基準で確認します

自社に該当するものを一覧にする

すべての研修が、すべての事業所に求められるわけではありません。訪問系と施設系では、対象になる研修が違います。

そのため、自事業所に該当するものを一覧にします。そのうえで、それぞれの回数も書き込みます。

一覧があると、年間計画を組むときの土台になります。

回数を一覧に書き込む

「年2回以上」「年1回以上」といった回数を、一覧に書きます。そのうえで、新規に採用したときの扱いも書いておきます。

入職時に行う研修があるサービスもあります。年間の予定とは別に、採用のたびに動く形になります。

回数が書いてあると、年度末に数えるときにも使えます。

一覧は、運営基準の改正で変わることがあります。そのため、年度の初めに一度確認します。

そのうえで、自治体から示される資料も見ておきます。解釈や運用が示されていることがあります。

訓練が別に求められるものがある

感染症と業務継続計画では、研修とは別に訓練が求められます。避難訓練も、別に回数が定められています。

研修は知識を伝える場、訓練は実際に動く場です。そのうえで、記録も分けて残します。

まとめて記録すると、片方を行っていないことになります。

年間計画には、研修と訓練を別の行として書きます。そのうえで、続けて行う場合もそれぞれ記録を作ります。

介護の年間研修計画の組み方

介護の研修記録のもとになる年間計画は、回数の多いものから月に配ると組みやすくなります。先に少ないものを入れると、後で入らなくなります。

  1. 1 一覧を作る 必要な研修と回数
  2. 2 月の枠を作る 12か月分
  3. 3 配る 回数の多いものから
  4. 4 担当を決める 誰が行うか
  5. 5 記録の様式 計画と対にする
回数の多いものから月に配っていく

この順で組むと、抜けが出にくくなります。そのうえで、担当まで決めておくと実施につながります。

項目内容書き方の目安
実施の月いつ行うか12か月に配る
研修の名称何の研修か一覧の名前で書く
内容扱う題材自社の事例も
担当誰が行うか職種か氏名で
時間何分行うか短くて回数を増やす形も
対象全員か一部か職種を限る場合も

右の列は、組むときの目安です。そのうえで、記録の様式と同じ項目にしておくと転記が減ります。

回数の多いものから配る

年2回のものが3種類あれば、それだけで6か月が埋まります。先にこれらを配ってから、年1回のものを入れます。

そのうえで、繁忙期を避けて配置します。年度末や、行事の多い月は参加が難しくなります。

配った後に、月ごとの数を確認します。

短い時間で回数を増やす

1回2時間の研修を年2回行うより、30分を年8回行うほうが参加しやすくなります。シフトの調整も楽になります。

短くして回数を増やすと、参加率も上がります

そのうえで、1回の内容を1つの題材に絞ります。短い時間に詰め込むと、伝わりません。

申し送りの後や、会議の前後に組み込む方法もあります。

委員会と同じ日に行う

委員会の後に研修を行う形にすると、職員がそろっている時間を使えます。委員会で検討した内容を、そのまま研修の題材にできます。

そのうえで、記録は分けて残します。委員会の記録と研修の記録は、別の書類になります。

同じ日に行っても、それぞれの実施が読み取れる形にします。

参加者も分けて記録します。委員会の出席者と、研修の参加者が違う場合があります。

介護の研修記録に書く項目

介護の研修記録は、実施したことが読み取れる形にします。項目が足りないと、記録として弱くなります。

  1. 実施の日時を書いたか はい次へ いいえ日付と時間を書く
  2. 研修の名称と内容を書いたか はい次へ いいえ扱った題材を書く
  3. 参加者を名前で残したか はい次へ いいえ氏名か署名を残す
  4. 講師と資料を残したか はい記録として使える いいえ講師名と資料を添える

参加者を名前で残すと、受けていない職員が拾える

研修記録が使える形かの確認

4つのうち、3つ目がいちばん重要な部分です。参加者が分からないと、全員が受けたかを確認できません。

参加者を名前で残す

人数だけを書くと、誰が受けていないかが分かりません。氏名を並べるか、署名をもらう形にします。

そのうえで、職員の名簿と突き合わせます。受けていない職員が分かると、個別に行う対象が決まります。

署名をもらう形にすると、参加した事実がより確かになります。

資料を記録に添える

配布した資料を、記録と一緒に綴じておきます。何を伝えたかが、後から読み取れます。

そのうえで、資料そのものが次の年の材料になります。毎回一から作る必要がなくなります。

外部の資料を使った場合も、出どころを書いておきます。

資料がない研修もあります。話し合いだけで行った場合は、扱った題材と出た意見を残します。

そのうえで、決まったことがあれば書いておきます。記録が空だと、何をしたか分からなくなります。

感想や気づきを1行残す

参加した職員に、1行でも感想を書いてもらう方法があります。理解の度合いが分かります。

そのうえで、次の研修の題材の手がかりにもなります。「ここが分からなかった」という声が出ることがあります。

書く欄を記録用紙に作っておくと、その場で集まります。

全員分でなくても構いません。数人分でも、傾向が見えます。

そのうえで、書きにくい雰囲気にならないようにします。評価のためではないことを伝えておきます。

介護で研修に参加できなかった職員への対応

シフト制の職場では、全員が同じ時間に集まれません。参加できなかった職員への対応を決めておきます。

個別に行う

  • 同じ内容を別の日に
  • 短時間で行える
  • 記録は個別に残す
  • 確実に伝わる

資料で行う

  • 資料を渡して読んでもらう
  • 手間が少ない
  • 読んだ確認を取る
  • 内容の理解は測りにくい
確実に伝えるか手間を抑えるかで、方法が分かれる

左は確実ですが、手間がかかります。一方で右は軽い代わりに、伝わり方が読めません。

同じ内容を別の日に行う

同じ内容を、別の日にもう一度行う形です。夜勤帯の職員向けに、朝の申し送りの後に行う方法もあります。

そのうえで、記録は別に作ります。参加者と日時が違うためです。

2回に分けると、1回あたりの人数も減って話しやすくなります。

資料を渡して確認を取る

資料を渡して読んでもらう形にする場合、読んだことの確認を取ります。署名をもらう、確認欄に印を付けてもらう。

読んだ確認を取っておくと、受けていない職員が残りません

動画にして見られる形にする

研修の様子を録画しておき、後から見てもらう方法があります。時間の都合がつくときに見られます。

そのうえで、見た日と本人の確認を残します。記録がないと、見たかどうかが分かりません。

撮影する場合は、参加者の同意を取ります。

利用者が写り込まない場所で行います。そのうえで、動画の保管と閲覧の範囲も決めておきます。

外部に出ないよう、扱いに気をつける部分です。

介護の研修記録の保存と実地指導

介護の研修記録は、一定期間の保存が求められます。年数は自治体の定めによって違うことがあります。

  • 研修記録 5年 運営基準の書類に合わせる
  • 委員会の記録 5年 同じ棚にまとめる
  • 指針 5年 版ごとに残す
  • 訓練の記録 5年 研修と分けて残す
どれも同じ年数なので、まとめて1か所に置ける(自治体の定めで違う場合がある)

年数は、指定を受けている自治体の定めを確認します。そのうえで、関連する記録は同じ場所にまとめます。

年間計画と記録を対で綴じる

年間計画を先頭に置き、その後ろに実施の記録を並べます。計画に対してどこまで実施したかが、めくれば分かります。

そのうえで、計画に実施済みの印を付けていきます。年度の途中でも、残りが何回か分かります。

実地指導のときに、この形のまま示せます。

年度ごとにまとめる

年度ごとにファイルを分けます。何年分を残すかを決めておくと、処分の判断がつきます。

そのうえで、ファイルの背に年度を書いておきます。過去の分を求められたときに、すぐ取り出せます。

電子で持つ場合も、年度でフォルダを分けます。

未実施の理由を残す

計画に入れていた研修が、実施できないことがあります。感染症の流行、行事との重なり、担当者の不在。

このときも、記録に残します。実施できなかった理由と、いつに振り替えたか。

そのうえで、年度内に実施する形にします。

空欄のままだと、忘れていたのか事情があったのかが分かりません。理由が書いてあると、説明ができます。

そのうえで、同じ理由が繰り返されているなら、計画の組み方を見直します。

介護の研修を身につく形にする

外部の資料を読み上げるだけの研修は、他人事として聞かれます。自社の事例を使うと、話が具体的になります。

  1. 1 自社の事例 ヒヤリハットや苦情から
  2. 2 匿名にする 個人を責めない形に
  3. 3 話し合う どうすればよかったか
  4. 4 手順に落とす 決めたことを書き直す
  5. 5 記録に残す 扱った題材も書く
自社の事例を匿名にして、話し合って手順に落とす

2つ目の「匿名にする」が要になります。個人が特定される形だと、次から事例が出てこなくなります。

自社のヒヤリハットを題材にする

ヒヤリハットや苦情の記録が、そのまま題材になります。その年に起きたことなので、全員が場面を思い浮かべられます。

そのうえで、繰り返し起きているものを選びます。1回だけのものより、傾向が出ているもののほうが扱う意味があります。

題材に困ることが減ります。

話し合う時間を取る

説明だけで終わると、聞いた内容が残りません。どうすればよかったかを話し合う時間を作ります。

話し合う時間を取ると、日々の動きが変わります

決めたことを手順に落とす

話し合って出た結論を、手順書やマニュアルに反映します。記録に残すだけだと、次の日から元に戻ります。

そのうえで、変えた内容を全員に周知します。参加していない職員にも伝わる形にします。

手順が変わると、日々の動きが変わります。

扱った題材を記録に書く

記録の内容の欄に、扱った題材を具体的に書きます。「虐待防止研修」だけだと、何を話したか分かりません。

「不適切なケアの事例3件について、どう対応すべきだったかを話し合った」。そのうえで、決まったことも書きます。

翌年に見返したときに、内容が重ならないよう選べます。

介護の研修記録を年度末に振り返る

介護の研修記録は、年度末にその年の分をまとめて振り返ります。数えるだけの作業ですが、次の年の計画につながります。

  • 回数要件を満たしたか
  • 参加者全員が受けたか
  • 題材偏っていないか
回数・参加者・題材の3つで振り返る

3つを見ると、翌年に手を入れる部分が分かります。そのうえで、年間計画の組み方も見直せます。

回数を数えて確かめる

研修ごとに、実施した回数を数えます。要件の回数に届いているかを確認します。

届いていないものがあれば、年度内に実施します。そのうえで、なぜ届かなかったのかも確認します。

計画に入れていなかったのか、実施できなかったのか。

全員が受けたかを確かめる

職員の名簿と、研修の参加者を突き合わせます。一度も参加していない職員がいないかを見ます。

年度末までに個別に行うと、全員が受けた形になります

題材の偏りを直す

同じ題材ばかりを扱っていると、扱っていない部分が残ります。その年に扱った題材を並べて見ます。

そのうえで、翌年の計画で偏りを直します。毎年同じ内容だと、参加する側も慣れてしまいます。

新しく入った職員向けの内容も、年に1回は入れておきます。

様式は研修記録テンプレートからダウンロードできます。委員会の記録は委員会記録にまとめています。

よくある質問

介護で必要な研修はいくつありますか。

サービスの種類によって違いますが、虐待防止、身体拘束の適正化、感染症対策、業務継続計画、事故発生の防止、緊急時の対応などが挙げられます。回数もそれぞれ定められており、改定で変わることがあります。自社のサービスに該当するものを一覧にしておくと漏れません。

参加できなかった職員はどうしますか。

個別に行って記録を残す形が一般的です。資料を渡して読んだ確認を取る方法もあります。参加者を名前で残しておくと、受けていない職員が分かります。全員が受けた形になっていないと、実施したことが示せません。

研修記録は何年保存しますか。

運営基準に関わる書類として、5年としている自治体が多くあります。年数は自治体の条例で違う場合があるため、指定を受けた自治体で確認しておくと安心です。年度ごとにまとめて保管しておくと、処分の判断で迷いません。

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