介護の研修記録|法定研修の一覧と年間計画
公開 2026年9月3日
目次8項目
- 1介護の研修記録が求められる理由
- 実地指導で最初に見られる
- 減算につながる場合がある
- 職員の質にも関わる
- 2介護で必要になる研修の種類
- 自社に該当するものを一覧にする
- 回数を一覧に書き込む
- 訓練が別に求められるものがある
- 3介護の年間研修計画の組み方
- 回数の多いものから配る
- 短い時間で回数を増やす
- 委員会と同じ日に行う
- 4介護の研修記録に書く項目
- 参加者を名前で残す
- 資料を記録に添える
- 感想や気づきを1行残す
- 5介護で研修に参加できなかった職員への対応
- 同じ内容を別の日に行う
- 資料を渡して確認を取る
- 動画にして見られる形にする
- 6介護の研修記録の保存と実地指導
- 年間計画と記録を対で綴じる
- 年度ごとにまとめる
- 未実施の理由を残す
- 7介護の研修を身につく形にする
- 自社のヒヤリハットを題材にする
- 話し合う時間を取る
- 決めたことを手順に落とす
- 扱った題材を記録に書く
- 8介護の研修記録を年度末に振り返る
- 回数を数えて確かめる
- 全員が受けたかを確かめる
- 題材の偏りを直す
介護の事業所には、何種類もの研修が求められています。虐待の防止、身体拘束の適正化、感染症、業務継続計画。それぞれに回数が定められているため、その場で思いついて行う形では足りません。
一般には、年度の初めに一覧を作り、12か月に配ります。計画がないと、年度末に回数が足りないことに気づきます。
とはいえ、計画を作っても記録が残っていなければ、実施したことが示せません。
ポイントはここです。介護の研修記録は、年間計画とセットで持つことで回数を満たせます。
ここでは、求められる理由、研修の種類、年間計画の組み方、そして年度末の振り返りまでを順に整理します。
介護の研修記録が求められる理由
介護の研修記録が求められるのは、研修が運営基準で実施を求められている事項だからです。実施したことを示すのが、記録の役割になります。
- 計画年間の予定
- 実施内容と参加者
- 記録実施したことの証跡
記録に参加者が残っていないと、全員が受けたことが示せません。
実地指導で最初に見られる
実地指導では、研修の記録が確認される項目に入っています。計画があるか、記録があるか、全員が受けているか。
そのうえで、記録の内容も見られます。何を扱ったかが読み取れない記録だと、実施の証跡として弱くなります。
計画と記録を対にして綴じておくと、その場で示せます。
減算につながる場合がある
研修の実施は、加算の要件ではありません。運営基準に定められた事項なので、満たしていないと減算の対象になります。
加算ではなく運営基準の要件なので、行わない選択がありません。
減算は、実施していなかった期間に遡って適用されることがあります。そのうえで、返還の手続きが必要になります。
行っていたのに記録がない場合も、同じ扱いになります。
職員の質にも関わる
要件を満たすことだけを目的にすると、形だけの研修になります。資料を配って読み上げるだけ、という形です。
実際には、職員が判断に迷う場面を減らすことが目的になります。虐待にあたるかどうか、拘束にあたるかどうか。
そのうえで、日々の動きが変わってはじめて意味が出ます。
研修の内容が現場に落ちているかは、その後の記録に出ます。ヒヤリハットの内容が変わる、相談が増える。
そのため、研修そのものと日々の記録をつなげて見ます。
介護で必要になる研修の種類
介護の事業所に求められる研修は、複数あります。サービスの種類によって、対象と回数が変わります。
回数はサービスの種類で違うため、運営基準で確認します。
自社に該当するものを一覧にする
すべての研修が、すべての事業所に求められるわけではありません。訪問系と施設系では、対象になる研修が違います。
そのため、自事業所に該当するものを一覧にします。そのうえで、それぞれの回数も書き込みます。
一覧があると、年間計画を組むときの土台になります。
回数を一覧に書き込む
「年2回以上」「年1回以上」といった回数を、一覧に書きます。そのうえで、新規に採用したときの扱いも書いておきます。
入職時に行う研修があるサービスもあります。年間の予定とは別に、採用のたびに動く形になります。
回数が書いてあると、年度末に数えるときにも使えます。
一覧は、運営基準の改正で変わることがあります。そのため、年度の初めに一度確認します。
そのうえで、自治体から示される資料も見ておきます。解釈や運用が示されていることがあります。
訓練が別に求められるものがある
感染症と業務継続計画では、研修とは別に訓練が求められます。避難訓練も、別に回数が定められています。
研修は知識を伝える場、訓練は実際に動く場です。そのうえで、記録も分けて残します。
まとめて記録すると、片方を行っていないことになります。
年間計画には、研修と訓練を別の行として書きます。そのうえで、続けて行う場合もそれぞれ記録を作ります。
介護の年間研修計画の組み方
介護の研修記録のもとになる年間計画は、回数の多いものから月に配ると組みやすくなります。先に少ないものを入れると、後で入らなくなります。
- 1 一覧を作る 必要な研修と回数
- 2 月の枠を作る 12か月分
- 3 配る 回数の多いものから
- 4 担当を決める 誰が行うか
- 5 記録の様式 計画と対にする
この順で組むと、抜けが出にくくなります。そのうえで、担当まで決めておくと実施につながります。
| 項目 | 内容 | 書き方の目安 |
|---|---|---|
| 実施の月 | いつ行うか | 12か月に配る |
| 研修の名称 | 何の研修か | 一覧の名前で書く |
| 内容 | 扱う題材 | 自社の事例も |
| 担当 | 誰が行うか | 職種か氏名で |
| 時間 | 何分行うか | 短くて回数を増やす形も |
| 対象 | 全員か一部か | 職種を限る場合も |
右の列は、組むときの目安です。そのうえで、記録の様式と同じ項目にしておくと転記が減ります。
回数の多いものから配る
年2回のものが3種類あれば、それだけで6か月が埋まります。先にこれらを配ってから、年1回のものを入れます。
そのうえで、繁忙期を避けて配置します。年度末や、行事の多い月は参加が難しくなります。
配った後に、月ごとの数を確認します。
短い時間で回数を増やす
1回2時間の研修を年2回行うより、30分を年8回行うほうが参加しやすくなります。シフトの調整も楽になります。
短くして回数を増やすと、参加率も上がります。
そのうえで、1回の内容を1つの題材に絞ります。短い時間に詰め込むと、伝わりません。
申し送りの後や、会議の前後に組み込む方法もあります。
委員会と同じ日に行う
委員会の後に研修を行う形にすると、職員がそろっている時間を使えます。委員会で検討した内容を、そのまま研修の題材にできます。
そのうえで、記録は分けて残します。委員会の記録と研修の記録は、別の書類になります。
同じ日に行っても、それぞれの実施が読み取れる形にします。
参加者も分けて記録します。委員会の出席者と、研修の参加者が違う場合があります。
介護の研修記録に書く項目
介護の研修記録は、実施したことが読み取れる形にします。項目が足りないと、記録として弱くなります。
- 実施の日時を書いたか はい次へ いいえ日付と時間を書く
- 研修の名称と内容を書いたか はい次へ いいえ扱った題材を書く
- 参加者を名前で残したか はい次へ いいえ氏名か署名を残す
- 講師と資料を残したか はい記録として使える いいえ講師名と資料を添える
参加者を名前で残すと、受けていない職員が拾える
4つのうち、3つ目がいちばん重要な部分です。参加者が分からないと、全員が受けたかを確認できません。
参加者を名前で残す
人数だけを書くと、誰が受けていないかが分かりません。氏名を並べるか、署名をもらう形にします。
そのうえで、職員の名簿と突き合わせます。受けていない職員が分かると、個別に行う対象が決まります。
署名をもらう形にすると、参加した事実がより確かになります。
資料を記録に添える
配布した資料を、記録と一緒に綴じておきます。何を伝えたかが、後から読み取れます。
そのうえで、資料そのものが次の年の材料になります。毎回一から作る必要がなくなります。
外部の資料を使った場合も、出どころを書いておきます。
資料がない研修もあります。話し合いだけで行った場合は、扱った題材と出た意見を残します。
そのうえで、決まったことがあれば書いておきます。記録が空だと、何をしたか分からなくなります。
感想や気づきを1行残す
参加した職員に、1行でも感想を書いてもらう方法があります。理解の度合いが分かります。
そのうえで、次の研修の題材の手がかりにもなります。「ここが分からなかった」という声が出ることがあります。
書く欄を記録用紙に作っておくと、その場で集まります。
全員分でなくても構いません。数人分でも、傾向が見えます。
そのうえで、書きにくい雰囲気にならないようにします。評価のためではないことを伝えておきます。
介護で研修に参加できなかった職員への対応
シフト制の職場では、全員が同じ時間に集まれません。参加できなかった職員への対応を決めておきます。
個別に行う
- 同じ内容を別の日に
- 短時間で行える
- 記録は個別に残す
- 確実に伝わる
資料で行う
- 資料を渡して読んでもらう
- 手間が少ない
- 読んだ確認を取る
- 内容の理解は測りにくい
左は確実ですが、手間がかかります。一方で右は軽い代わりに、伝わり方が読めません。
同じ内容を別の日に行う
同じ内容を、別の日にもう一度行う形です。夜勤帯の職員向けに、朝の申し送りの後に行う方法もあります。
そのうえで、記録は別に作ります。参加者と日時が違うためです。
2回に分けると、1回あたりの人数も減って話しやすくなります。
資料を渡して確認を取る
資料を渡して読んでもらう形にする場合、読んだことの確認を取ります。署名をもらう、確認欄に印を付けてもらう。
読んだ確認を取っておくと、受けていない職員が残りません。
動画にして見られる形にする
研修の様子を録画しておき、後から見てもらう方法があります。時間の都合がつくときに見られます。
そのうえで、見た日と本人の確認を残します。記録がないと、見たかどうかが分かりません。
撮影する場合は、参加者の同意を取ります。
利用者が写り込まない場所で行います。そのうえで、動画の保管と閲覧の範囲も決めておきます。
外部に出ないよう、扱いに気をつける部分です。
介護の研修記録の保存と実地指導
介護の研修記録は、一定期間の保存が求められます。年数は自治体の定めによって違うことがあります。
年数は、指定を受けている自治体の定めを確認します。そのうえで、関連する記録は同じ場所にまとめます。
年間計画と記録を対で綴じる
年間計画を先頭に置き、その後ろに実施の記録を並べます。計画に対してどこまで実施したかが、めくれば分かります。
そのうえで、計画に実施済みの印を付けていきます。年度の途中でも、残りが何回か分かります。
実地指導のときに、この形のまま示せます。
年度ごとにまとめる
年度ごとにファイルを分けます。何年分を残すかを決めておくと、処分の判断がつきます。
そのうえで、ファイルの背に年度を書いておきます。過去の分を求められたときに、すぐ取り出せます。
電子で持つ場合も、年度でフォルダを分けます。
未実施の理由を残す
計画に入れていた研修が、実施できないことがあります。感染症の流行、行事との重なり、担当者の不在。
このときも、記録に残します。実施できなかった理由と、いつに振り替えたか。
そのうえで、年度内に実施する形にします。
空欄のままだと、忘れていたのか事情があったのかが分かりません。理由が書いてあると、説明ができます。
そのうえで、同じ理由が繰り返されているなら、計画の組み方を見直します。
介護の研修を身につく形にする
外部の資料を読み上げるだけの研修は、他人事として聞かれます。自社の事例を使うと、話が具体的になります。
- 1 自社の事例 ヒヤリハットや苦情から
- 2 匿名にする 個人を責めない形に
- 3 話し合う どうすればよかったか
- 4 手順に落とす 決めたことを書き直す
- 5 記録に残す 扱った題材も書く
2つ目の「匿名にする」が要になります。個人が特定される形だと、次から事例が出てこなくなります。
自社のヒヤリハットを題材にする
ヒヤリハットや苦情の記録が、そのまま題材になります。その年に起きたことなので、全員が場面を思い浮かべられます。
そのうえで、繰り返し起きているものを選びます。1回だけのものより、傾向が出ているもののほうが扱う意味があります。
題材に困ることが減ります。
話し合う時間を取る
説明だけで終わると、聞いた内容が残りません。どうすればよかったかを話し合う時間を作ります。
話し合う時間を取ると、日々の動きが変わります。
決めたことを手順に落とす
話し合って出た結論を、手順書やマニュアルに反映します。記録に残すだけだと、次の日から元に戻ります。
そのうえで、変えた内容を全員に周知します。参加していない職員にも伝わる形にします。
手順が変わると、日々の動きが変わります。
扱った題材を記録に書く
記録の内容の欄に、扱った題材を具体的に書きます。「虐待防止研修」だけだと、何を話したか分かりません。
「不適切なケアの事例3件について、どう対応すべきだったかを話し合った」。そのうえで、決まったことも書きます。
翌年に見返したときに、内容が重ならないよう選べます。
介護の研修記録を年度末に振り返る
介護の研修記録は、年度末にその年の分をまとめて振り返ります。数えるだけの作業ですが、次の年の計画につながります。
- 回数要件を満たしたか
- 参加者全員が受けたか
- 題材偏っていないか
3つを見ると、翌年に手を入れる部分が分かります。そのうえで、年間計画の組み方も見直せます。
回数を数えて確かめる
研修ごとに、実施した回数を数えます。要件の回数に届いているかを確認します。
届いていないものがあれば、年度内に実施します。そのうえで、なぜ届かなかったのかも確認します。
計画に入れていなかったのか、実施できなかったのか。
全員が受けたかを確かめる
職員の名簿と、研修の参加者を突き合わせます。一度も参加していない職員がいないかを見ます。
年度末までに個別に行うと、全員が受けた形になります。
題材の偏りを直す
同じ題材ばかりを扱っていると、扱っていない部分が残ります。その年に扱った題材を並べて見ます。
そのうえで、翌年の計画で偏りを直します。毎年同じ内容だと、参加する側も慣れてしまいます。
新しく入った職員向けの内容も、年に1回は入れておきます。
様式は研修記録テンプレートからダウンロードできます。委員会の記録は委員会記録にまとめています。
よくある質問
介護で必要な研修はいくつありますか。
サービスの種類によって違いますが、虐待防止、身体拘束の適正化、感染症対策、業務継続計画、事故発生の防止、緊急時の対応などが挙げられます。回数もそれぞれ定められており、改定で変わることがあります。自社のサービスに該当するものを一覧にしておくと漏れません。
参加できなかった職員はどうしますか。
個別に行って記録を残す形が一般的です。資料を渡して読んだ確認を取る方法もあります。参加者を名前で残しておくと、受けていない職員が分かります。全員が受けた形になっていないと、実施したことが示せません。
研修記録は何年保存しますか。
運営基準に関わる書類として、5年としている自治体が多くあります。年数は自治体の条例で違う場合があるため、指定を受けた自治体で確認しておくと安心です。年度ごとにまとめて保管しておくと、処分の判断で迷いません。