介護の重要事項説明書|書く事項と同意の取り方

公開 2026年8月23日

目次8項目

重要事項説明書を作るとき、どこまで詳しく書けばよいのかで迷うことがあります。一般には、運営規程から必要な部分を抜き出して作っている事業所が多くあります。ところが実地指導で、苦情の窓口や費用の内訳について指摘を受ける例があります。

ポイントはここです。重要事項説明書は、渡すための書類ではなく説明して同意を得るための書類として読まれます

ここでは、重要事項説明書に載せる事項と、説明の進め方、同意の取り方、内容を変えたときの扱いを、実務の順に整理します。

介護の重要事項説明書が求められる理由

介護の重要事項説明書は、サービスの提供を始める前に交付して説明することが求められている文書です。基準が求めているのは、運営規程の概要その他の重要事項を記した文書を交付し、説明し、同意を得るところまでです。

  • 3つ交付・説明・同意がそろって成立
  • 開始前サービスを始める前に
  • 5年控えの保存(自治体による)
重要事項説明書でおさえる3つ

3つのうち、崩れやすいのは同意です。渡しただけ、説明しただけでは足りず、同意を得た記録まで残す形が求められます。

契約書との違い

重要事項説明書と利用契約書は、役割が違います。重要事項説明書は「この事業所はどういうところか」を伝える文書で、契約書は「お互いに何を約束するか」を書く文書です。

そのため、説明が先で、契約はその後という順序になります。契約書だけを渡して署名をもらう形にすると、説明した記録が残りません。2つを一組で用意しておくと、順序が自然に守られます。

交付する相手

重要事項説明書は、利用申込者に交付します。本人が判断できる状態にない場合は、家族や成年後見人に説明する形が取られます。

そのうえで、誰に説明したかと、その方の続柄を記録に残しておくと後から確認できます。同席した家族が複数いる場合は、全員の氏名を残しておくと確実です。

介護の重要事項説明書に載せる事項

介護の重要事項説明書に載せる事項は、運営規程の概要が軸になります。利用者が知りたい順に並べ替えると、読みやすい文書になります。

載せる事項何を伝えるか
事業所の概要どこの誰が提供するか
職員の体制どんな職種が何人いるか
サービスの内容何をしてもらえるか
営業日と提供時間いつ利用できるか
利用料とその他の費用いくらかかるか
通常の事業の実施地域交通費が発生する範囲
緊急時・事故発生時の対応もしものときの流れ
苦情の受付窓口どこに言えばよいか
個人情報の取扱い何にどう使うか
  1. 1 事業所の概要 誰が提供するか
  2. 2 サービスと時間 何をいつ
  3. 3 料金 いくら
  4. 4 もしものとき 緊急・事故
  5. 5 困ったとき 苦情の窓口
重要事項説明書は、利用者が知りたい順に並べると読まれる

この順に並べると、説明も上から順に進められます。事業所の都合ではなく利用者の関心の順にすると、説明の途中で質問が出やすくなります。

職員の体制は常勤と非常勤を分ける

重要事項説明書の職員体制は、常勤と非常勤を分けて書く形が一般的です。合計人数だけでは、実際にどれくらいの体制なのかが伝わりません。職種ごとに常勤何名、非常勤何名と書くと、体制の厚みが読み取れます。

人数は変わりやすいため、大きく変わったときに書き換える運用にしておくと手間が減ります。

サービスの内容は具体的に書く

重要事項説明書のサービス内容は、実際に行っていることを書きます。「日常生活上の世話」とだけ書かれていると、何をしてもらえるかが分かりません。入浴、排せつ、食事、機能訓練、送迎というように、項目で並べると伝わります。

そのうえで、一日の流れを表にして添えている事業所もあります。初めて利用する方には、この形がいちばん伝わります。

介護の重要事項説明書の料金の書き方

介護の重要事項説明書で最も質問が出るのが、料金の欄です。介護保険の対象になるものと、全額自己負担になるものを分けて書くと、後の説明が楽になります。

説明が難しくなる書き方

  • 利用料 別途申し受けます
  • 食費 実費
  • その他の費用 別に定める
  • 合計金額の記載なし

説明しやすい書き方

  • 通所介護費 ○○○円/回(1〜3割負担)
  • 食費 ○○○円/回(保険対象外・全額自己負担)
  • おむつ代 実費(持参の場合は不要)
  • 1か月あたりの目安 ○,○○○円(週2回利用の場合)
金額と保険の対象かどうかを並べると、質問が減る

右側は、金額と保険の扱いを対にして書いています。そのうえで、月あたりの目安を添えると、利用者が生活の中で判断できるようになります。

保険対象と対象外を分ける

重要事項説明書の料金は、保険の対象かどうかで分けると混乱が減ります。食費、おむつ代、レクリエーションの材料費、地域外の送迎費といったものは対象外です。まとめて「その他の費用」と書くと、請求のときに説明がつかなくなります。

そのため、費目ごとに、金額と対象かどうかを1行で書く形が扱いやすくなります。

1か月の目安を添える

重要事項説明書に1回あたりの金額だけを書くと、月にいくらかかるかが伝わりません。週2回利用した場合の月額、週3回の場合の月額といった目安を添えると、利用者が判断できます。

そのうえで、目安である旨を書き添えておけば、実際の請求と違っても誤解になりません。この一手間で、契約後の問い合わせが減ります。

支払いの方法と時期も書く

重要事項説明書には、いつどうやって支払うかも書きます。請求書を出す日、支払いの期限、支払いの方法。この3つが書かれていると、家計の予定が立てられます。

口座振替を使う場合は、引き落としの日も書いておくと確実です。

介護の重要事項説明書の苦情窓口

介護の重要事項説明書で指摘が多いのが、苦情の窓口です。事業所の担当者だけを書いた説明書は、指摘を受けることがあります。

  • 3つ以上窓口を併記する
  • 外部市町村・国保連を書く
  • 氏名担当者まで書く
苦情窓口でおさえる3つ

3つのうち、外部の窓口が最も抜けやすい部分です。事業所に言いにくい苦情のために、外へ出る道を示しておくことが求められています。

外部の窓口をあわせて書く

重要事項説明書の苦情窓口には、事業所以外の連絡先も書きます。市町村の介護保険担当課と、都道府県の国民健康保険団体連合会の2つを併記する形が一般的です。運営適正化委員会を加えている事業所もあります。

そのうえで、電話番号と受付時間まで書いておくと、実際に使える情報になります。

担当者の氏名を書く

重要事項説明書の苦情窓口は、役職だけでなく氏名まで書く形が親切です。「苦情受付担当者」とだけ書かれていると、誰に言えばよいかが分かりません。氏名があると、実際に声をかけやすくなります。

そのため、担当者が代わったときは、説明書と掲示の両方を直す運用にしておくと古い名前が残りません。

介護の重要事項説明書の説明と同意

介護の重要事項説明書は、説明して同意を得るところまでが求められています。渡すだけで済ませると、手続きとして成立しません。

  1. 書面を交付したか はい次へ いいえ交付する
  2. 内容を説明したか はい次へ いいえ説明する
  3. 同意の記録が残っているか はい手続き完了 いいえ署名または記名押印を受ける

3つがそろってはじめて、重要事項の説明として成立する

説明の手続きが完了しているかの判断

3つのうち1つでも欠けると、手続きとして不十分になります。記録が残っていない場合、説明したかどうかを後から示せません。

説明した日と説明者を残す

重要事項説明書の控えには、説明した日と説明した職員の氏名を残します。利用者の署名欄と並べて置いておくと、1枚で確認できます。

押印を求めるかどうかは事業所の判断ですが、署名だけでも記録として成立します。そのうえで、同席した家族がいる場合は、その方の氏名と続柄も残しておくと確実です。

契約書と同じファイルに綴じる

重要事項説明書の控えは、契約書と同じファイルに綴じておくと探しやすくなります。別々の場所に保管すると、実地指導のときに説明書だけが見つからない、ということが起こります。

そのため、利用者ごとにファイルを作り、契約に関する書類をまとめておく形が扱いやすくなります。個人情報の同意書も、同じファイルに入れておくと一度に出せます。

介護の重要事項説明書を読みやすくする工夫

介護の重要事項説明書は、文字量が多くなりがちな文書です。読まれないまま署名だけをもらう形になると、後で「聞いていない」という話につながります。

表と図で見せる

重要事項説明書は、文章より表のほうが伝わる部分があります。職員の体制、料金、一日の流れ、苦情の窓口。この4つは表にすると一目で分かります。

文章で書くと同じ内容でも読む負担が上がり、目が滑ります。そのうえで、説明するときも表を指しながら進められるため、話が飛びにくくなります。

説明の順番を決めておく

重要事項説明書の説明は、担当者によって順番が変わりがちです。上から順に読む形にすると、抜けが起きません。特に料金と苦情の窓口は、最後にもう一度確認する運用にしている事業所があります。

説明にかかる時間は30分ほどが目安です。長くなる場合は、事前に書面を渡して読んでおいてもらう形も取れます。

質問の出やすいところを先に説明する

重要事項説明書で質問が集中するのは、料金と、休んだときの扱いです。利用を休んだ場合に費用がかかるのか、キャンセルはいつまでに連絡すればよいのか。この2つは説明書に書いておくと、後の問い合わせが減ります。

書いていない事業所が多い部分なので、書いてあるだけで丁寧な印象になります。

介護の重要事項説明書と個人情報の同意

介護の重要事項説明書には、個人情報の取扱いについての記載が入ります。詳細は別の同意書に分け、説明書には概要を置く形が扱いやすくなります。

文書書く内容
重要事項説明書個人情報を適切に取り扱う旨、同意書を別に取る旨
個人情報使用同意書目的、範囲、提供先、期間、撤回の方法
写真・動画の同意使う場所ごとの意向
  1. 1 重要事項の説明 事業所の全体像
  2. 2 契約の締結 権利義務を決める
  3. 3 個人情報の同意 目的と提供先を示す
  4. 4 控えを綴じる 3点をまとめて保管
契約時の書類は、この順で進めると説明が重ならない

3点を一度に渡すと、利用者が読み切れません。そのため、順番に説明し、それぞれで同意を得る形にすると内容が伝わります。

提供先は事業者名まで書く

個人情報の同意書では、提供先を機関名で書く形が求められます。「関係機関」とだけ書かれていると、どこまで同意したのかが本人にも分かりません。

居宅介護支援事業所、協力医療機関、市町村というように、実際にやり取りする先を挙げます。そのうえで、事業者が変わったときは、同意を取り直す形が確実です。

撤回できることを書く

個人情報の同意は、いつでも撤回できます。撤回の方法を書いていないと、本人が撤回したいときに手段が分かりません。

申し出先と、撤回した場合にどうなるかを書いておくと親切です。そのうえで、撤回するとサービスの一部が受けられなくなる場合は、その旨も正直に書きます。

介護の重要事項説明書を変更したとき

介護の重要事項説明書の内容を変えたときは、すでに利用している方にも改めて説明します。特に料金を変えたときは、変更前の同意では足りません。

変えたもの対応
料金改定前に説明し、同意を得直す
営業時間・提供時間変更前に説明する
苦情の窓口・担当者新しい書面を渡す
職員の体制大きく変わったときに書き換える
事業所の所在地変更前に説明し、変更届も出す
  • 1か月前に説明 100余裕がある
  • 2週間前に説明 70実務で多い
  • 当月に説明 35説明が急になる
  • 改定後に説明 5同意が後追いになる
料金改定の説明時期と、同意の取りやすさ

早いほど、利用者が判断する時間を持てます。1か月前を目安にしている事業所が多く、この期間を運営規程に書いておくと毎回の段取りが揃います。

全世帯分をまとめて取り直す

重要事項説明書を変えたときは、在籍している全員から同意を取り直します。利用者ごとに個別に説明していると、抜けが起きます。

そのため、年度替わりや改定の時期にまとめて行う形にすると、進捗を管理できます。取り直した日を一覧にしておくと、誰が残っているかが分かります。

変更の経過を残す

重要事項説明書の版数と改定日を、書面に入れておくと経過が追えます。どの版で同意を得たかが記録に残るため、後から確認できます。そのうえで、古い版は1部だけ残し、他は処分する形が扱いやすくなります。

様式は重要事項説明書テンプレート利用契約書からダウンロードできます。運営規程は運営規程の作り方で整理しています。

よくある質問

重要事項説明書は誰が説明すればよいですか。

職種の指定はありません。事業所の内容を正確に説明できる立場の職員が行う形が一般的で、管理者や生活相談員が担当している事業所が多くあります。説明した職員の氏名を書面に残しておくと、後から確認できます。

説明した記録はどこに残せばよいですか。

重要事項説明書の末尾に、説明した日と説明者、同意した利用者の署名欄を設ける形が広く使われています。控えを事業所で保管し、原本を利用者にお渡しします。契約書と同じファイルに綴じておくと、実地指導のときに一度に出せます。

料金を改定したときは、また同意をもらう必要がありますか。

料金は重要事項にあたるため、改めて説明して同意を得るのが原則です。改定の1か月前までに新しい書面を渡し、説明のうえ署名をもらう形にしている事業所が多くあります。

関連するテンプレート

関連する記事