介護の年次有給休暇管理簿|基準日とシフト
公開 2026年9月3日
目次8項目
- 1介護の年次有給休暇管理簿に書く3つの項目
- 時季は取得した日を並べる
- 残日数まで見える形にする
- 基準日は付与した日を書く
- 2介護の年次有給休暇管理簿の基準日をどう置くか
- そろえる日を就業規則に書く
- 入社1年目は前倒しになる
- 期限が散らばると管理が重くなる
- 3介護で年5日の取得をどう進めるか
- シフト作成の前に希望を聞く
- 半年の時点で残りを見る
- 時季指定は希望を聴いてから行う
- 4介護で公休と有給をどう区別するか
- 記号を分けて凡例を置く
- 出勤簿にも区別を入れる
- 月末に管理簿へ転記する
- 5介護の短時間勤務の職員の付与日数
- 所定労働日数を契約書で確認する
- 10日に届かない年も管理簿は作る
- シフトが変わったら日数を見直す
- 6介護の年次有給休暇管理簿でつまずきやすいところ
- 契約書に週の所定労働日数を書く
- 繰り越した日数を分けて書く
- 半日と時間単位の扱いを決める
- 退職する人の残日数を先に確認する
- 7介護の年次有給休暇管理簿の保存期間
- 年度ごとにファイルを分ける
- 賃金台帳と一体で作ってもよい
- 電子で持つときは取り出せる形にする
- 8介護の年次有給休暇管理簿を回す形にする
- 残日数を職員に見せる
- 期限が近い職員の一覧を作る
- 担当を決めて手順を書く
介護の現場では、シフト表に休みの記号が並びます。公休も有給も同じ「休」で書かれていると、何日取得したかが数えられません。年5日の取得義務があるのに、達しているかどうかが分からない状態になります。
一般には、記号を分けて、月末に管理簿へ転記します。記号を分けるだけで、数えられる形になります。
とはいえ、記号の意味が人によって違うと、後から読めない表になります。
ポイントはここです。介護の年次有給休暇管理簿は、公休と区別できる形にしておくことで日数が数えられます。
ここでは、書く項目、基準日の置き方、年5日の進め方、そして回す形にするところまでを順に整理します。
介護の年次有給休暇管理簿に書く3つの項目
介護の年次有給休暇管理簿は、労働基準法にもとづいて作成と保存が求められる帳簿です。書く項目は、法令で3つに定められています。
- 時季いつ取得したか
- 日数何日取得したか
- 基準日いつ付与したか
基準日は年に1回決まるため、年度の初めに書き入れれば足ります。
時季は取得した日を並べる
時季の欄には、実際に取得した日を書きます。5月12日、6月3日、といった形で並べる形が一般的です。
そのうえで、半日単位で取得した場合は、その旨も書きます。「6月3日(半日)」という形にしておくと、日数の計算が合います。
日付が並んでいると、取得が偏っている時期も見えます。
年度の後半に集中している場合は、期限が迫って取っている形です。そのうえで、その時期に人手が足りなくなる原因にもなります。
前半にも取得できる形にすると、シフトが組みやすくなります。
残日数まで見える形にする
法令で求められているのは3項目ですが、残日数の欄を足しておくと使いやすくなります。本人から聞かれたときに、その場で答えられます。
残日数まで見える形にしておくと、本人からの問い合わせに手元で答えられます。
そのうえで、繰り越した分と今年度に付与した分を分けて書きます。どちらから消化するかで、期限が変わるためです。
基準日は付与した日を書く
基準日は、有給休暇を付与した日です。入社日から6か月経過した日が、最初の基準日になります。
その後は、1年ごとに基準日が来ます。そのうえで、基準日ごとに付与日数が変わります。
管理簿には、その年度の基準日と付与日数を書いておきます。
介護の年次有給休暇管理簿の基準日をどう置くか
介護の年次有給休暇管理簿で使う基準日の置き方には、2つの形があります。どちらを選ぶかで、管理の重さが変わります。
入社日から数える
- 原則どおりの形
- 職員ごとに基準日が違う
- 期限が年間に散らばる
- 人数が少ない事業所に向く
基準日をそろえる
- 全員を同じ日に付与
- 前倒しで付与する
- 期限が年1回にまとまる
- 人数が多い事業所に向く
そろえる場合、後ろにずらすと付与が遅れる形になるため、前倒しにします。
そろえる日を就業規則に書く
基準日をそろえる場合は、就業規則にその旨を書きます。4月1日にそろえる、10月1日にそろえる、といった形です。
そのうえで、入社の時期による扱いも書いておきます。年度の途中で入った人をどうするかが決まります。
書いていないと、原則どおりの扱いになります。
入社1年目は前倒しになる
基準日をそろえると、入社1年目は前倒しの付与になります。本来の基準日より早く付与する形です。
たとえば10月入社の人は、本来なら翌年4月が最初の基準日です。そろえる日が4月1日なら、その日に付与することになります。
前倒しの分だけ、事業所の負担は増えます。
期限が散らばると管理が重くなる
入社日ごとの基準日にすると、期限が年間に散らばります。毎月のように、誰かの期限が来る状態になります。
そのうえで、年5日の取得を確認する時期も人ごとに変わります。確認の作業が、毎月発生することになります。
人数が10人を超えるあたりから、この負担が重くなってきます。
一方で、そろえる形にすると、確認が年に1回で済みます。そのため、人数が多い事業所ではそろえる形が選ばれます。
どちらを選ぶかは、人数と管理の体制で決めます。
介護で年5日の取得をどう進めるか
年10日以上の有給休暇が付与される職員には、年5日の取得が義務づけられています。期限が迫ってから慌てると、シフトが組めなくなります。
- 1 基準日 付与日数を確定
- 2 シフト作成 有給の希望を先に聞く
- 3 半年で確認 残りの日数を見る
- 4 時季指定 足りなければ会社が指定
- 5 1年後 5日に達したかを確認
2つ目の「シフト作成」が要になります。そのうえで、半年の時点で確認しておくと、残りの半年で調整できます。
シフト作成の前に希望を聞く
シフトを組んでから有給の希望を受けると、組み直しになります。先に希望を聞いておくと、その日を空けた形で組めます。
シフトの前に希望を聞くと、人の手配が間に合います。
半年の時点で残りを見る
基準日から半年経った時点で、取得の状況を確認します。まだ1日も取っていない職員がいれば、残りの半年で5日を確保する必要があります。
そのうえで、その職員と話す機会を作ります。取れない理由が業務の都合なら、事業所として調整します。
半年で見ておくと、余裕をもって進められます。
時季指定は希望を聴いてから行う
年5日に届かない見込みのときは、会社が時季を指定できます。このとき、本人の希望を聴くことが求められています。
一方的に日を決めると、本人の予定と合わないことがあります。そのうえで、指定した内容は記録に残します。
聴いたうえで指定する形にすると、受け入れられやすくなります。
介護で公休と有給をどう区別するか
シフト制の職場では、公休と有給が同じ「休み」に見えます。記号を分けておかないと、取得日数が数えられません。
- シフト表に記号を分けているか はい次へ いいえ公休と有給の記号を分ける
- 凡例が様式にあるか はい次へ いいえ欄外に印刷する
- 出勤簿にも区別があるか はい次へ いいえ欄を足す
- 管理簿に転記しているか はい数えられる形になっている いいえ月末に転記する
記号を分けて凡例を置くだけで、数えられる形になる
出勤簿にも区別を入れておくと、突き合わせができます。
記号を分けて凡例を置く
公休は「公」、有給は「有」、欠勤は「欠」。このように記号を分けておきます。
そのうえで、凡例をシフト表の欄外に印刷します。記号の意味を覚えている前提にすると、新しい職員が書けません。
半日の有給は「有/」といった形で、区別できる記号を決めておきます。
出勤簿にも区別を入れる
シフト表だけでなく、出勤簿にも区別を入れます。2つが一致しているかを確認できる形になります。
そのうえで、シフト表は予定、出勤簿は実績です。当日に変更があった場合は、出勤簿のほうが正しくなります。
管理簿へは、出勤簿から転記する形が確実です。
月末に管理簿へ転記する
月末に出勤簿を締めるとき、有給の日数を管理簿へ転記します。給与計算の流れの中で行うと、忘れにくくなります。
そのうえで、残日数も同時に更新します。月ごとに更新していると、年度末の確認が軽くなります。
まとめて年に1回転記する形だと、抜けが出やすくなります。
介護の短時間勤務の職員の付与日数
週の所定労働日数が少ない職員には、比例付与という仕組みがあります。働く日数に応じて、付与日数が変わります。
週4日以下でも、週の所定労働時間が30時間以上であれば通常の付与になります。そのうえで、勤続年数が増えると付与日数も増えます。
所定労働日数を契約書で確認する
比例付与の日数は、週の所定労働日数で決まります。実際に何日出勤したかではありません。
そのため、雇用契約書に週の所定労働日数が書かれている必要があります。書かれていないと、付与日数が計算できません。
「シフトによる」とだけ書かれている契約書があります。
10日に届かない年も管理簿は作る
年5日の取得義務は、10日以上付与される職員が対象です。届かない職員には、義務がかかりません。
一方で、管理簿そのものは作っておくと管理が楽になります。勤続が伸びて10日に達したときに、そのまま続けられます。
付与日数を書いておくと、対象かどうかがその場で分かります。
シフトが変わったら日数を見直す
週3日だった職員が週5日に変わることがあります。このとき、次の基準日から付与日数が変わります。
そのうえで、雇用契約書も変更します。契約が古いままだと、根拠が示せません。
シフトの変更と契約の変更を、同じタイミングで進めます。
介護の年次有給休暇管理簿でつまずきやすいところ
介護の年次有給休暇管理簿でつまずく原因は、その前段の情報が整っていないことにあります。所定労働日数や入社日が曖昧だと、計算そのものができません。
上の2つは、労働者名簿や雇用契約書で解決します。そのうえで、下の3つは運用の決めごとになります。
契約書に週の所定労働日数を書く
雇用契約書に「週3日」と書いてあれば、付与日数がその場で出ます。「シフトによる」だと、計算の根拠がありません。
契約書に書いておくと、付与日数がその場で出ます。
繰り越した日数を分けて書く
有給休暇は、2年で時効になります。そのため、繰り越した分と今年度の分を分けて管理します。
古い分から消化する形にすると、時効で消える日数が減ります。そのうえで、管理簿にも分けて書いておきます。
合計だけだと、どちらから減ったかが分かりません。
半日と時間単位の扱いを決める
半日単位の取得を認めるか、時間単位を認めるか。これは事業所ごとに決める事項です。
時間単位の取得には、労使協定が必要になります。そのうえで、年5日の取得にどう算入するかも決まりがあります。
就業規則に書いておかないと、運用が人によって変わります。
退職する人の残日数を先に確認する
退職の申し出があった時点で、残日数を確認します。退職前にまとめて取得したいという希望が出ることがあります。
そのうえで、引き継ぎの期間との調整が必要になります。直前に分かると、シフトが組めなくなります。
残日数が管理簿で見える形になっていると、早く判断できます。
介護の年次有給休暇管理簿の保存期間
介護の年次有給休暇管理簿の保存期間は、労働基準法にもとづいて定められています。起算日が帳簿ごとに違う点に注意が要ります。
年数は同じでも、いつから数えるかが違います。そのため、まとめて処分すると早く消えるものが出ます。
年度ごとにファイルを分ける
年度ごとにファイルを分けておくと、処分の判断がつきます。そのうえで、年度と保存の期限をファイルに書いておきます。
年に1回、期限が過ぎたものを処分する日を決めておきます。個人情報を含むため、処分の方法も決めておきます。
在職者と退職者を分けておくと、扱いが整理できます。
賃金台帳と一体で作ってもよい
年次有給休暇管理簿は、賃金台帳と一体で作ることも認められています。必要な項目が入っていれば、様式は問われません。
一体にすると、作る書類が1つ減ります。そのうえで、給与計算のときに同時に更新できます。
分けて持つ場合は、両方を更新する手順を決めておきます。
電子で持つときは取り出せる形にする
管理簿を電子で持つ場合、必要なときに出せる形にしておきます。労働基準監督署の調査で求められることがあります。
そのうえで、人ごとに絞り込める形にしておきます。全員分を印刷すると、必要な部分が埋もれます。
アクセスできる人も決めておきます。
介護の年次有給休暇管理簿を回す形にする
介護の年次有給休暇管理簿は、シフトの作成と締めの流れに組み込むと続きます。別の作業として持つと、後回しになります。
- 1 シフト作成前 有給の希望を聞く
- 2 シフト表 記号で区別して組む
- 3 月末 出勤簿を締める
- 4 転記 管理簿に日数を写す
- 5 半年と1年 取得の状況を確認
すでにある作業に乗せる形にすると、負担が増えません。そのうえで、担当と時期を決めておきます。
残日数を職員に見せる
残日数が分からないと、職員は計画的に取得できません。給与明細に印字する、月に1回一覧を配る、といった方法があります。
そのうえで、期限が近い分についても伝えます。時効で消える日数があると、後から不満につながります。
見えていると、本人から希望が出るようになります。
期限が近い職員の一覧を作る
基準日から半年が過ぎた時点で、取得が進んでいない職員を洗い出します。一覧にしておくと、シフトを組むときに優先して入れられます。
そのうえで、なぜ取れていないのかも確認します。業務が回らない、他の職員に気兼ねする、といった理由があります。
理由が分かると、事業所として手を打てます。
担当を決めて手順を書く
誰がいつ管理簿を更新するのかを決めます。月末の締めの担当が兼ねる形が一般的です。
そのうえで、手順を1枚にまとめておきます。基準日の考え方、記号の意味、転記の方法。
担当が代わっても、同じ形で続けられます。
様式は年次有給休暇管理簿テンプレートからダウンロードできます。あわせて使う出勤簿、職員シフト表にまとめています。
よくある質問
シフト勤務でも年5日は必要ですか。
年10日以上の年次有給休暇が付与される職員が対象になります。勤務の形にかかわらず、付与日数で判断します。シフトを組む段階で有給の日を入れておくと、期限の直前に慌てません。
短時間のパート職員にも付与しますか。
6か月の継続勤務と8割以上の出勤という要件を満たせば発生します。週の所定労働日数が少ない場合は、日数を減らして付与する比例付与という仕組みがあります。付与日数が10日に届かない年は年5日の義務の対象から外れますが、管理簿は作ります。
公休と有給の区別はどう付けますか。
シフト表と管理簿の両方で区別できる形にしておきます。介護では公休が多いため、記号を分けておかないと有給を取ったことが記録に残りません。記号の凡例をシフト表に印刷しておく形が扱いやすくなります。